2012年6月26日火曜日

続・裏切らない人




信頼する人物に裏切られた主人公。

しかし、この裏切り者はなんと「話のオチでは裏切らない男」だった…!

拳銃を突きつけられ身動きも取れず、裏切り者の、オチで裏切られない話を永遠と聞かされる主人公。

果たして運命やいかに…!



フフフフフフ…。

どうだ。

裏切り者にオチで裏切られない話を永遠と聞かされる気持ちは。

そろそろ最後にしよう。

最後はこんな話をしてやろう。


…あるところに、赤ずきんちゃんと呼ばれてる女の子がいたのね。

で、その女の子がお母さんに、おばあちゃんのお家に届け物を頼まれたの。

おばあちゃんのお家に行くのには森を通って行かなきゃいけなくて、赤ずきんちゃんもその森を歩いてたんだけど、その途中で、オオカミに会っちゃって。

でも、赤ずきんちゃんはオオカミの恐さを知らないから、オオカミに言われたとおりに、花を摘むために道草をしちゃったのね。

で、しばらく花を摘んだあとに、おばあちゃんの家に向かって、ようやくおばあちゃんの家に着いたんだけど、なんか急に気になって、赤ずきんちゃんはこんなことをおばあちゃんに尋ねたの。

「おばあちゃんの耳はどうしてそんなに普通なの?」って。

そしたら、あばあちゃんはこう答えた。

「それはね。普通に音を聞くためだよ。」

こんな風におばあちゃんにどんどん尋ねていく。

「おばあちゃんの目はどうしてそんなに普通なの?」

「それはね。普通にモノを見るためだよ。」

「おばあちゃんの鼻はどうしてそんなに普通なの?」

「それはね。普通に匂いを嗅ぐためだよ。」

で、最後にこうおばあちゃんに尋ねたの。

「じゃあ、おばあちゃんの口はどうしてそんなに普通なの?」

そしたら、おばあちゃんがゆっくりと赤ずきんちゃんの方を向いてこう言ったの。

「それはね…。普通にモノを食べるためさー!!」

…ってね。

女の子が普通のババアに怒鳴られたっていう話。



…ふっふっふっふっふっふ。

ハーッハッハッハッハッハ!!!

どうだ!

今回はかなり早めに裏切られないことに気が付いただろう!

さて、そろそろ終わりにしようか。

死ねぇ!


パァン!!


…。


なっなんだと…?

お前の仲間か…俺を撃ったのは。

ふっ…。

裏切り者は結局最後に落ちる…か。

裏切りのない、俺らしい最後―オチ―だ…ぜ…。




こうしてこの裏切り者の「話」は幕を閉じた。

裏切らない男の最後は、まさしく彼らしい「オチ」だった。

結局、彼は何がしたかったのか。

それはもう、誰にも分からない―。


裏切らない人




ハーハッハッハ!!

残念だったなぁ!!

「なぜ?」だと?それは「なぜ裏切ったのか」ということか? 

ふん。自分の胸に聞いてみるんだな!

いいか。お前にこんな話をしてやろう。


 …実は、俺の従兄の兄ちゃんって霊感がある人なのね。 

だから、なんていうのかな。見えちゃう人なんだよね。 

で、その従兄の兄ちゃんが、会社から帰るときに体験した話なんだけど。 

その帰り道の途中に、電灯がすごい少なくて、人通りも少ない暗い道があって、いっつもそこ通るときに、なんか嫌な感じがしてたんだって。 

で、ある日、そこを通ったら、なんかいつも暗いんだけど、いつも以上に暗い感じがして、

「あっ出るな。」って思ったんだって。 

そしたら、案の定、向こうの電灯の下になんか「人っぽい形をした何か」が立ってるのが見えたんだって。

人の形はしてるんだけど、何かが違うっていうのはすぐに感じて。 

どんどん近づいていくと、徐々にその「人の形をした何か」の輪郭がはっきりしていくわけ。 

近づいていけばいくほど、なんか体が重くなるような気がしてたんだけど、なぜか足が勝手にそっちに向かっていくんだって。 

で、もう見たくないから下を向いて歩いてたんだけど、もうその「人の形をした何か」のすぐそばまで来ちゃったの。

で、パッと顔を上げて、その「人の形をした何か」の方を見たら…。 

なんと、それが…結局、人だったの!

人の形をした普通の人だったっていう話。




…ふっふっふっふっふ。

ハーッハッハッハッハ!

どうだ! 裏切り者に話のオチで裏切られなかった気分は!

ハッハッハッハ!

俺は、話のオチでは絶対に裏切らない男だ!

ハーッハッハッハ!ハーッハッハッハッハ!!


・・・・・続く           



2012年6月7日木曜日

犯人はやくみつる




私はここで、ある事件の犯人を告発したいと思う。

東京都世田谷区の桜新町商店街。

この場所で、人のモラルを問うような事件が起こった。

みなさんもニュースなどで耳にしたであろう。

東急田園都市線の桜新町駅前に設置されている人気漫画「サザエさん」一家の銅像のうち、波平さんの頭に1本生えていた約10センチのワイヤ製の毛が、2度にわたって抜き取られていたという事件である。

毛を抜き取った犯人については、まだ何も分かっておらず、証拠もないため、事件は未解決のままとなっている。

しかし、私はこの事件の後に行われた「植毛式」で、ある人物に疑惑の目を向けることになる。


波平さん銅像に“植毛” 世知辛いけど…カメラで監視   http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/06/03/kiji/K20120603003381830.html


波平の頭に毛を差しこんだのは、漫画家、コメンテーターとして知られるやくみつる氏であった。

彼が薄ら笑いを浮かべながら、波平像の頭に毛をねじ込んでいるのを見たときに、私はこんなことを思った。



「彼ならやりかねない。」



彼は漫画家、コメンテーターとして以外に、ある裏の顔を持っている。

彼のことを本当に知っている人なら、彼のことをこう呼ぶであろう。

「珍品コレクター」と。

彼のコレクターとしての主義は、「先人のいない分野を開拓すること。」

そして、彼がコレクションしているものは様々ではあるが、もっとも知られているのは、芸能人が使用した物のコレクションである。

芸能人のタバコの吸い殻。女性芸能人が使用したストロー。

これらを、誰にもバレないように盗みとる。

最近では、著名人が自ら吸ったタバコの吸い殻を「あげるよ」と渡されるという。

そのときに、彼はこう思うのだという。

「自ら渡されては、楽しさ半減。緊張感があるからこそ価値がある。」と。

ここまで読んだ皆さんも、私と同じことをお思いになったはずである。

そう。

彼ならやっていたとしても不思議ではないのだ。

いや、もう彼がやったとしか考えられない。

彼は、自らが毛を抜き取った波平像に、再び舞い戻り、さもこの事件を嘆いているかの如く振る舞い、新たな毛を植毛した。

それは、まるで放火犯が現場に舞い戻り、燃え盛る炎を眺め、高揚感を得ているかのようで、私は彼の中の変態性のようなものを感じずにはいられない。


私は、彼の変態的とも言えるその収集癖を動機として、彼を犯人だと推測した。

しかし、彼にはまだ、もうひとつこの事件を起こす動機がある。

キーワードは「編み込み式増毛」である。

もう、私が言わなくとも皆さんにはご理解頂けたであろう。

彼は、この件に関するインタビューの最後をこう締めくくっている。


朝起きると寝癖がつきます。これは髪の毛が少なかった時代には味わえなかった喜び。例えるならば、勃起不全の男性が「おお、勃った!」と感動するのと同じことで、つまり「キミもあの喜びを取り戻してみないか?」と声を大にして言いたいですね。
http://www.cyzowoman.com/2012/02/post_5218.html 


最後の最後に「勃起」というワードを放り込んでくる彼の精神性は、もはやサイコパスとしか言いようがなく、私はこのインタビュー記事を見て、彼が犯人であるという確信に至った。


当初、私はこの事件を耳にしたとき、ただの悪戯程度の考える愉快犯の起こした事件だと考えていた。

実際は、猟奇的でサイコパスな変態収集家が起こした事件であった。

証拠がない以上、彼を捕まえることはできない。

しかし、もう私だけでなく、ここまで読んだ皆さんも同じように思っていることでしょう。



「彼ならやりかねない。」