最近、妙な人に付きまとわれてる。
一日中家の前に立ってる男。
ストーカー?なのかな?
いや、多分違う。
そいつが男だからとかいう理由じゃなくて、なんて言うか、なんか違う。
なんなんだよアイツ。
なにがしたいんだよアイツ。
ストーカーなのか何なのかハッキリしろよ。
「ダンカン」とだけ書かれた看板を持って、一日中ずっと家の前で突っ立って、何してんだよ。
しかも、下地が赤なのに、オレンジ色でダンカンって書いてあるからスゲー見にくいんだよその看板。
最初色弱のテストかなんかかと思ったもん。
「………。あっ!見えた!ダンカンか!良かったー俺色覚異常じゃなかったー。パイロットなれんじゃん。良かったー。」って。
「ダンカン」って書かれたあの看板さえ持ってなかったらストーカーだって確定できるのに!
あの看板さえなかったら、こんなにモヤモヤしないのに!
あの看板マジでうっとーしいよ~。
この前なんて、本人いなくてダンカンの看板だけウチの前に置かれてて。
なんか用事があったのかなんなのか分かんないけど。
たぶん朝早くに来て置いたんだと思う。
前の日の夜にはなかったから。
会社行く前に病院行くみたいな感じでウチに来やがって。
マジでなんなんだよ。
ていうか最近は本人来なくて看板だけ置かれてることの方が多いからね。
あのダンカンとだけ書かれた看板の方がよっぽど俺のストーカーだよ。
ていうか、はじまりはなんだったんだよ。
なんで俺だったんだよ。
ストーカーするんならちゃんとストーカーしてくれよ。
警察には相談できないし。
警察になんて説明したらいいかわかんないもん。
ていうかアレをストーカーとしたら、逆に本当のストーカーの人に申し訳ないよ。
いや本当に。アイツ見たら、本当のストーカーを尊敬しないこともないよ。
本当のストーカーの人はちゃんとしてる。
ちゃんとストーカーしてる人は偉いよ。 立派。
最近は電話もしてくるし。
なんかハァハァ言いながら。
ハァハァ言ってるから、やっぱりストーカーなのかなって思ったんだけど、「ダンカ~ン…。ハァハァ…ダンカ~ン。」っていう感じだから、やっぱり分かんなくなって。
たまに「ハァハァ…。ハァハァ…ダンカ~ン…。ハァハァ…。ハァ…ん?ダンカン?ハァハァ…ん?ダンカン?」って、言ってくるから「違います。」って言うけど全然分かってくれないし。
あとは細かいことで言えば、赤ちゃんが乗ってますシールが「ダンカンが乗ってます」シールに変えられてたりとか。
そんな感じで危害を加えるようなことはしてこなかったのに、最近はエスカレートしてきて、電話でついに攻撃的なところをみせてきたんだけど…。
「ダンカンを殺して俺も死ぬ。」って言ってきて。
…いや、じゃあ俺マジで関係ないんじゃん。
何の報告だよ。知らねぇよ。
バカかよ。
もう本当にいい加減にしてほしい。
何がしたいのか分かんないんだよ!
何がしたいのか分からなければ、ダンカンのこともそんなに知らないんだよ!
世代が違うんだよ!
結局アンタ何なんだよ!
そんな感じのこと言ったら「いや、付き合ってほしいな~って。」だってさ。
いや、マジのストーカーやったんかーい!!
なんだよこのオチ…。
2012年2月18日土曜日
2012年2月16日木曜日
犬から学んだこと。
突然失礼致します。
私、歳は53歳。家族は愛する妻と娘が3人おります。
その家族が最近、犬を飼いたいと言いだしました。
私はこれまで動物を飼ったことがなかったのですが、苦手だというわけでもないですし、反対する理由もないので、我が家でも犬を飼うことに。
妻と娘たちはその犬を大層可愛いがりました。
しかし、私はというと犬との接し方も分からず、犬のことに関してはほとんど干渉せずに日々を過ごしておりました。
そんなある日のこと。
その犬が私の足をクンクンと嗅いでいたのです。
しばらく私はそれを観察しておりました。
そのとき、私はあることに気が付いたのです。
我々人間は、何かのニオイを嗅ごうと心に決めたとき、鼻から息を吸うことに重点を置く。
しかし、ニオイを嗅ぐという行動に関してプロである犬の場合はその逆だったのです。
簡単にニオイを嗅ぐメカニズムを説明すると、まず、鼻から息を出す。そして、鼻から息を吸う。
そうすることで、ニオイを嗅ぐことができる。
だから、我々人間は意識的に息を吸うことに力を入れてしまう。
しかし、実際はその前段階である鼻から息を出すことの方が重要だったのです。
犬は小刻みに鼻から息を出すことに力を入れることによって、自然と鼻周辺の空気を吸い込んでいたのです。
それは、まるでスポイトが、中の空気を出した分だけ吸うようなそういう原理ではないかと私は結論付けたのでした。
私もこの方法で、色々なものを嗅いでみることにしました。
小刻みに鼻から息を出す。音で言うと「スンスンスンスンスン」というように、色んなものを嗅いでみました。
食卓に並んだ料理。
臭いと噂の私の体臭。
脱ぎたてのパンツ。
向いのホーム。路地裏の窓。
校舎の影。芝生の上。吸い込まれる空。
やはり、普段よりも格段にニオイを取り込めていると私は感じました。
普段が60%のニオイを嗅いでいるとすると、このときの私は90%のニオイを嗅いでいました。
それから、私はこの嗅ぎ方を誰かに教えてあげたい。この気持ちを共有したい。
そのような衝動に駆られ、家族にその話をしました。
家族はみんな口を揃えてこう言いました。
「あぁ…うん…。」と。
そのとき、私は、自分は何をしていたんだろうという徒労感を抱くとともに、明日からはきちんと、責任感を持った行動を心がけなければならないと思いました。
なにせ明日から私は大統領になるのだから。
大統領に、なるのだから。
私、歳は53歳。家族は愛する妻と娘が3人おります。
その家族が最近、犬を飼いたいと言いだしました。
私はこれまで動物を飼ったことがなかったのですが、苦手だというわけでもないですし、反対する理由もないので、我が家でも犬を飼うことに。
妻と娘たちはその犬を大層可愛いがりました。
しかし、私はというと犬との接し方も分からず、犬のことに関してはほとんど干渉せずに日々を過ごしておりました。
そんなある日のこと。
その犬が私の足をクンクンと嗅いでいたのです。
しばらく私はそれを観察しておりました。
そのとき、私はあることに気が付いたのです。
我々人間は、何かのニオイを嗅ごうと心に決めたとき、鼻から息を吸うことに重点を置く。
しかし、ニオイを嗅ぐという行動に関してプロである犬の場合はその逆だったのです。
簡単にニオイを嗅ぐメカニズムを説明すると、まず、鼻から息を出す。そして、鼻から息を吸う。
そうすることで、ニオイを嗅ぐことができる。
だから、我々人間は意識的に息を吸うことに力を入れてしまう。
しかし、実際はその前段階である鼻から息を出すことの方が重要だったのです。
犬は小刻みに鼻から息を出すことに力を入れることによって、自然と鼻周辺の空気を吸い込んでいたのです。
それは、まるでスポイトが、中の空気を出した分だけ吸うようなそういう原理ではないかと私は結論付けたのでした。
私もこの方法で、色々なものを嗅いでみることにしました。
小刻みに鼻から息を出す。音で言うと「スンスンスンスンスン」というように、色んなものを嗅いでみました。
食卓に並んだ料理。
臭いと噂の私の体臭。
脱ぎたてのパンツ。
向いのホーム。路地裏の窓。
校舎の影。芝生の上。吸い込まれる空。
やはり、普段よりも格段にニオイを取り込めていると私は感じました。
普段が60%のニオイを嗅いでいるとすると、このときの私は90%のニオイを嗅いでいました。
それから、私はこの嗅ぎ方を誰かに教えてあげたい。この気持ちを共有したい。
そのような衝動に駆られ、家族にその話をしました。
家族はみんな口を揃えてこう言いました。
「あぁ…うん…。」と。
そのとき、私は、自分は何をしていたんだろうという徒労感を抱くとともに、明日からはきちんと、責任感を持った行動を心がけなければならないと思いました。
なにせ明日から私は大統領になるのだから。
大統領に、なるのだから。
2012年2月11日土曜日
きたなシュラン。
最近では珍しく、人が賑わう商店街。
そこを少し外れて、細い路地へと入って行く。
そこは、先ほどの商店街とは違い、暗く、ジメっとした湿気が漂っていた。
だが、このような場所に美味しいお店というものは、隠れているものだ。
あった。
汚い小さな定食屋。
今日はこの定食屋で、私の食欲を抑えるとしよう。
入ると、店の面構えと同じような雰囲気を持つ、親父が一人。
店には、昼食時だというのに、客は一人もいない。
親父も店に客が来たことを驚いているのか、面倒臭いと思っているのか、微妙な表情をして、何も言わずに私を見つめている。
「あっ…。いらっしゃい?」
まだ、自分の店に客が来たことを信じられないようだ。
私は何も言わずに、席に着いて、メニューを見る。
そして、一番大きな字で書かれており、自信があると思われる、カレーを頼んだ。
店内を見渡す。
外見は汚かったが、中はそうでもない。客が来ないからだろうか。
今日はハズレの店に来てしまったか。
そうこうしているうちに、カレーが私の前まで運ばれて来た。
うん。見た目は普通のカレーだ。
しかし、具が見当たらない。
少しスプーンで漁ってみると、元々は肉であったであろう小さな塊を見つけた。
なるほど、煮込んで煮込んで、具が溶けてしまっているのか。
これは、予想に反して、当たりの店かもしれないぞ。
そんなことを考えながら、スプーンでルーとご飯を一緒に口まで運ぶ。
そして、味わうように、ゆっくり咀嚼し、ゆっくりと飲み込む。
「…うまい。」
思わず、そう口から飛び出した。
今までに味わったことのないカレーの味が口の中に広がる。
私は最初の一口とは変わって、すぐに二口目を口の中に運ぶ。
そして、三口目、四口目と口の中に運び、五口目でようやく、今までに味わったことのない味の根源であろう隠し味とバッタリ出会った。
「君は…君はもしや、ヨーグルトかい?」
私がそうつぶやくと、ヨーグルトも私に語りかけてきた。
「久しぶり。こんなところでバッタリ出会うなんて。どうだい?僕の入ったカレーは美味しいかい?」
「うん。君がこんなにカレーを美味しくするなんて、思いもしなかったよ。」
「そう。よかった。ブルガリアから日本に来て、もう何年も経つけど、こんなことになって僕が一番驚いてるよ。」
「ははは。それもそうだ。では、また。」
そう言って、私はヨーグルトに別れを告げ、六口目を口の中に運んだ。
そこで、私は自分のお腹に違和感を感じた。
その違和感の正体を突き止めることは容易ではなかったが、七口目を口の中に運んだところで、その違和感の正体に気がついた。
そう。私はもうお腹いっぱいだった。
元々、私は少食なので、食パン一枚でも限界なのだ。
こうなると、あれだけうまかったカレーは、すでに私にとって、罰ゲームのようなものでしかない。
八口目、九口目と無理矢理、吐きそうになりながらも、食べていくうちに、私の中に沸々と憎しみのような感情が湧き出てきた。
誰だ?私をこんなに苦しめるのは。
どうして私がこんな思いをしてまで、食べたくもないモノを無理矢理食べなければならないんだ。
こんなものを食べていたら私は死んでしまう。
死ぬ?私が?
どうして?どうして私が死ななければならないんだ?
誰だ!?誰が私を殺そうとしているんだ!
助けてくれ!
私はまだ死にたくない!
私の目から、スーっと涙がこぼれ落ちた。
その涙は私の頬をつたい、カレーの中へと消えていった。
「死にたくないよぅ…。」
そう呟くと、私は生きてきた今までのことを思い返した。
そして、母親のこと、父親のこと、兄弟達のこと。
妻と子供、愛すべき私の家族のこと。
彼らの顔を思い浮かべながら、私はゆっくりと息を引き取ったのだった…。
ということで、評価は星2つ。
もう少し、食パン一枚でギリギリな人でも食べられるような量だったら、星3つだったんですけどね。
とても惜しかった。
でも、今までに味わったことのないカレーで、とても美味しかったです。
そこを少し外れて、細い路地へと入って行く。
そこは、先ほどの商店街とは違い、暗く、ジメっとした湿気が漂っていた。
だが、このような場所に美味しいお店というものは、隠れているものだ。
あった。
汚い小さな定食屋。
今日はこの定食屋で、私の食欲を抑えるとしよう。
入ると、店の面構えと同じような雰囲気を持つ、親父が一人。
店には、昼食時だというのに、客は一人もいない。
親父も店に客が来たことを驚いているのか、面倒臭いと思っているのか、微妙な表情をして、何も言わずに私を見つめている。
「あっ…。いらっしゃい?」
まだ、自分の店に客が来たことを信じられないようだ。
私は何も言わずに、席に着いて、メニューを見る。
そして、一番大きな字で書かれており、自信があると思われる、カレーを頼んだ。
店内を見渡す。
外見は汚かったが、中はそうでもない。客が来ないからだろうか。
今日はハズレの店に来てしまったか。
そうこうしているうちに、カレーが私の前まで運ばれて来た。
うん。見た目は普通のカレーだ。
しかし、具が見当たらない。
少しスプーンで漁ってみると、元々は肉であったであろう小さな塊を見つけた。
なるほど、煮込んで煮込んで、具が溶けてしまっているのか。
これは、予想に反して、当たりの店かもしれないぞ。
そんなことを考えながら、スプーンでルーとご飯を一緒に口まで運ぶ。
そして、味わうように、ゆっくり咀嚼し、ゆっくりと飲み込む。
「…うまい。」
思わず、そう口から飛び出した。
今までに味わったことのないカレーの味が口の中に広がる。
私は最初の一口とは変わって、すぐに二口目を口の中に運ぶ。
そして、三口目、四口目と口の中に運び、五口目でようやく、今までに味わったことのない味の根源であろう隠し味とバッタリ出会った。
「君は…君はもしや、ヨーグルトかい?」
私がそうつぶやくと、ヨーグルトも私に語りかけてきた。
「久しぶり。こんなところでバッタリ出会うなんて。どうだい?僕の入ったカレーは美味しいかい?」
「うん。君がこんなにカレーを美味しくするなんて、思いもしなかったよ。」
「そう。よかった。ブルガリアから日本に来て、もう何年も経つけど、こんなことになって僕が一番驚いてるよ。」
「ははは。それもそうだ。では、また。」
そう言って、私はヨーグルトに別れを告げ、六口目を口の中に運んだ。
そこで、私は自分のお腹に違和感を感じた。
その違和感の正体を突き止めることは容易ではなかったが、七口目を口の中に運んだところで、その違和感の正体に気がついた。
そう。私はもうお腹いっぱいだった。
元々、私は少食なので、食パン一枚でも限界なのだ。
こうなると、あれだけうまかったカレーは、すでに私にとって、罰ゲームのようなものでしかない。
八口目、九口目と無理矢理、吐きそうになりながらも、食べていくうちに、私の中に沸々と憎しみのような感情が湧き出てきた。
誰だ?私をこんなに苦しめるのは。
どうして私がこんな思いをしてまで、食べたくもないモノを無理矢理食べなければならないんだ。
こんなものを食べていたら私は死んでしまう。
死ぬ?私が?
どうして?どうして私が死ななければならないんだ?
誰だ!?誰が私を殺そうとしているんだ!
助けてくれ!
私はまだ死にたくない!
私の目から、スーっと涙がこぼれ落ちた。
その涙は私の頬をつたい、カレーの中へと消えていった。
「死にたくないよぅ…。」
そう呟くと、私は生きてきた今までのことを思い返した。
そして、母親のこと、父親のこと、兄弟達のこと。
妻と子供、愛すべき私の家族のこと。
彼らの顔を思い浮かべながら、私はゆっくりと息を引き取ったのだった…。
ということで、評価は星2つ。
もう少し、食パン一枚でギリギリな人でも食べられるような量だったら、星3つだったんですけどね。
とても惜しかった。
でも、今までに味わったことのないカレーで、とても美味しかったです。
2012年2月4日土曜日
なんでも美味しく食べようとする奴(続・シェフの心)
やっぱり落ち込んでる。
思い返してみるとなんでも美味しく食べてもらおうとしてる自分がいて。
今はいい。
美味しく食べてもらおうとしてるうちはまだいい。
だけど、今度はそのうちなんでも美味しく食べようとするような人間になっちゃうんじゃないかって。
例えば、人の憎しみとか、悲しみとか、悩みとか。
人の夢を食べる妖怪みたいに。
そんなものまで美味しく食べようとするような人間になっちゃうんじゃないかってすごく不安。
いつも相談に乗ってあげてる幼馴染の女の子にね、急に呼び出されるわけですよ。
そしたら、ブランコに座って泣いてるその子が。
その子はいっつも男に泣かされてるわけですよ。
その度に俺が愚痴を聞いて慰めて、また別の男と付き合っては泣いて。
だからそこでブランコで泣いてるその子に言うんですよ。
「また泣いてんのかよ。いっつもそうじゃん。
いつも同じような男と付き合って、何回泣かされれば気が済むんだよ。
…お前を泣かすような男なら、もう別れちまえよ。
お前を苦しませるような、悲しませるような男なんか、忘れろよ。
…俺じゃダメか?
俺ならお前を泣かせたりしない。
俺ならお前を悩ませたりしない。
お前の憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、そんなもの全部まとめて、俺がリッツにチーズとのせて食ってやる!リッツパーティー開いて食ってやる!
だから…だからもう泣くなよ。」
ほーら美味しく食べようとしたぁ!
ほらね?
やっぱり美味しく食べようとしたよ。
もうパーティー開いちゃってんじゃん。たぶん主催じゃん。
しかも、結局またフラれたりしてさ。
もうここまで来ると、開き直って自分から進んで美味しく食べようとするよ。
「あの~…突然すいません。その憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、よかったら僕が食べましょうか?バンズに挟んで食べましょうか?」
とか言って。
もうそれ用にバンズ持ち歩いちゃってるよ。
そのうちみんなでバーベキューしようとか言い出して、
憎しみとか、悲しみとか、悩みとかを串に刺して食べ出すよ。
憎しみ、玉ねぎ、悲しみ、玉ねぎ、悩み、玉ねぎ
っていう風に自分で作っといて、玉ねぎだけ残すよ。嫌いだから。
そんな日々を送ってるうちに、ある女性に恋に落ちてさ。
でもその人は過去に恋人を事故で失ってて、また失ってしまうのが怖くて恋愛できないでいて。
その人に俺はこう言うんです。
「あなたに悲しい顔は似合わない。
あなたの憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、
そんなもの全部まとめて、僕がキュウリと一緒に、糠に漬けて食ってやる!
だから…だからもうそんな悲しい顔しないでください。」
って言って告白したら、結局またまたフラれて。
だから最後に俺は言うんです。
「美味しく食べようとしてるとか言う以前に、やっぱり俺フラれすぎだろ!!」
思い返してみるとなんでも美味しく食べてもらおうとしてる自分がいて。
今はいい。
美味しく食べてもらおうとしてるうちはまだいい。
だけど、今度はそのうちなんでも美味しく食べようとするような人間になっちゃうんじゃないかって。
例えば、人の憎しみとか、悲しみとか、悩みとか。
人の夢を食べる妖怪みたいに。
そんなものまで美味しく食べようとするような人間になっちゃうんじゃないかってすごく不安。
いつも相談に乗ってあげてる幼馴染の女の子にね、急に呼び出されるわけですよ。
そしたら、ブランコに座って泣いてるその子が。
その子はいっつも男に泣かされてるわけですよ。
その度に俺が愚痴を聞いて慰めて、また別の男と付き合っては泣いて。
だからそこでブランコで泣いてるその子に言うんですよ。
「また泣いてんのかよ。いっつもそうじゃん。
いつも同じような男と付き合って、何回泣かされれば気が済むんだよ。
…お前を泣かすような男なら、もう別れちまえよ。
お前を苦しませるような、悲しませるような男なんか、忘れろよ。
…俺じゃダメか?
俺ならお前を泣かせたりしない。
俺ならお前を悩ませたりしない。
お前の憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、そんなもの全部まとめて、俺がリッツにチーズとのせて食ってやる!リッツパーティー開いて食ってやる!
だから…だからもう泣くなよ。」
ほーら美味しく食べようとしたぁ!
ほらね?
やっぱり美味しく食べようとしたよ。
もうパーティー開いちゃってんじゃん。たぶん主催じゃん。
しかも、結局またフラれたりしてさ。
もうここまで来ると、開き直って自分から進んで美味しく食べようとするよ。
「あの~…突然すいません。その憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、よかったら僕が食べましょうか?バンズに挟んで食べましょうか?」
とか言って。
もうそれ用にバンズ持ち歩いちゃってるよ。
そのうちみんなでバーベキューしようとか言い出して、
憎しみとか、悲しみとか、悩みとかを串に刺して食べ出すよ。
憎しみ、玉ねぎ、悲しみ、玉ねぎ、悩み、玉ねぎ
っていう風に自分で作っといて、玉ねぎだけ残すよ。嫌いだから。
そんな日々を送ってるうちに、ある女性に恋に落ちてさ。
でもその人は過去に恋人を事故で失ってて、また失ってしまうのが怖くて恋愛できないでいて。
その人に俺はこう言うんです。
「あなたに悲しい顔は似合わない。
あなたの憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、
そんなもの全部まとめて、僕がキュウリと一緒に、糠に漬けて食ってやる!
だから…だからもうそんな悲しい顔しないでください。」
って言って告白したら、結局またまたフラれて。
だから最後に俺は言うんです。
「美味しく食べようとしてるとか言う以前に、やっぱり俺フラれすぎだろ!!」
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