2012年2月16日木曜日

犬から学んだこと。

突然失礼致します。

私、歳は53歳。家族は愛する妻と娘が3人おります。

その家族が最近、犬を飼いたいと言いだしました。

私はこれまで動物を飼ったことがなかったのですが、苦手だというわけでもないですし、反対する理由もないので、我が家でも犬を飼うことに。

妻と娘たちはその犬を大層可愛いがりました。

しかし、私はというと犬との接し方も分からず、犬のことに関してはほとんど干渉せずに日々を過ごしておりました。

そんなある日のこと。

その犬が私の足をクンクンと嗅いでいたのです。

しばらく私はそれを観察しておりました。

そのとき、私はあることに気が付いたのです。

我々人間は、何かのニオイを嗅ごうと心に決めたとき、鼻から息を吸うことに重点を置く。

しかし、ニオイを嗅ぐという行動に関してプロである犬の場合はその逆だったのです。

簡単にニオイを嗅ぐメカニズムを説明すると、まず、鼻から息を出す。そして、鼻から息を吸う。

そうすることで、ニオイを嗅ぐことができる。

だから、我々人間は意識的に息を吸うことに力を入れてしまう。

しかし、実際はその前段階である鼻から息を出すことの方が重要だったのです。

犬は小刻みに鼻から息を出すことに力を入れることによって、自然と鼻周辺の空気を吸い込んでいたのです。

それは、まるでスポイトが、中の空気を出した分だけ吸うようなそういう原理ではないかと私は結論付けたのでした。

私もこの方法で、色々なものを嗅いでみることにしました。

小刻みに鼻から息を出す。音で言うと「スンスンスンスンスン」というように、色んなものを嗅いでみました。

食卓に並んだ料理。

臭いと噂の私の体臭。

脱ぎたてのパンツ。

向いのホーム。路地裏の窓。

校舎の影。芝生の上。吸い込まれる空。

やはり、普段よりも格段にニオイを取り込めていると私は感じました。

普段が60%のニオイを嗅いでいるとすると、このときの私は90%のニオイを嗅いでいました。

それから、私はこの嗅ぎ方を誰かに教えてあげたい。この気持ちを共有したい。

そのような衝動に駆られ、家族にその話をしました。

家族はみんな口を揃えてこう言いました。

「あぁ…うん…。」と。

そのとき、私は、自分は何をしていたんだろうという徒労感を抱くとともに、明日からはきちんと、責任感を持った行動を心がけなければならないと思いました。

なにせ明日から私は大統領になるのだから。

大統領に、なるのだから。




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