やっぱり落ち込んでる。
思い返してみるとなんでも美味しく食べてもらおうとしてる自分がいて。
今はいい。
美味しく食べてもらおうとしてるうちはまだいい。
だけど、今度はそのうちなんでも美味しく食べようとするような人間になっちゃうんじゃないかって。
例えば、人の憎しみとか、悲しみとか、悩みとか。
人の夢を食べる妖怪みたいに。
そんなものまで美味しく食べようとするような人間になっちゃうんじゃないかってすごく不安。
いつも相談に乗ってあげてる幼馴染の女の子にね、急に呼び出されるわけですよ。
そしたら、ブランコに座って泣いてるその子が。
その子はいっつも男に泣かされてるわけですよ。
その度に俺が愚痴を聞いて慰めて、また別の男と付き合っては泣いて。
だからそこでブランコで泣いてるその子に言うんですよ。
「また泣いてんのかよ。いっつもそうじゃん。
いつも同じような男と付き合って、何回泣かされれば気が済むんだよ。
…お前を泣かすような男なら、もう別れちまえよ。
お前を苦しませるような、悲しませるような男なんか、忘れろよ。
…俺じゃダメか?
俺ならお前を泣かせたりしない。
俺ならお前を悩ませたりしない。
お前の憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、そんなもの全部まとめて、俺がリッツにチーズとのせて食ってやる!リッツパーティー開いて食ってやる!
だから…だからもう泣くなよ。」
ほーら美味しく食べようとしたぁ!
ほらね?
やっぱり美味しく食べようとしたよ。
もうパーティー開いちゃってんじゃん。たぶん主催じゃん。
しかも、結局またフラれたりしてさ。
もうここまで来ると、開き直って自分から進んで美味しく食べようとするよ。
「あの~…突然すいません。その憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、よかったら僕が食べましょうか?バンズに挟んで食べましょうか?」
とか言って。
もうそれ用にバンズ持ち歩いちゃってるよ。
そのうちみんなでバーベキューしようとか言い出して、
憎しみとか、悲しみとか、悩みとかを串に刺して食べ出すよ。
憎しみ、玉ねぎ、悲しみ、玉ねぎ、悩み、玉ねぎ
っていう風に自分で作っといて、玉ねぎだけ残すよ。嫌いだから。
そんな日々を送ってるうちに、ある女性に恋に落ちてさ。
でもその人は過去に恋人を事故で失ってて、また失ってしまうのが怖くて恋愛できないでいて。
その人に俺はこう言うんです。
「あなたに悲しい顔は似合わない。
あなたの憎しみとか、悲しみとか、悩みとか、
そんなもの全部まとめて、僕がキュウリと一緒に、糠に漬けて食ってやる!
だから…だからもうそんな悲しい顔しないでください。」
って言って告白したら、結局またまたフラれて。
だから最後に俺は言うんです。
「美味しく食べようとしてるとか言う以前に、やっぱり俺フラれすぎだろ!!」
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